beltwayの意味とは アメリカの選挙期間によく耳にするフレーズ

Luke

こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!


僕はワシントンDCに引っ越したばかりの頃、「inside the Beltway」というフレーズを何度か耳にしたのですが、最初の数日は意味が分かりませんでした。例えば、ラジオでキャスターが「traffic is very heavy inside the Beltway this morning」と言っているのを聞いたり、ワシントンDCの朝のニュース番組が「The Beltway」という番組名だったりもしました。そして数日後僕が分かったのは、「the Beltway」というのはワシントンDCの周りをベルトのように丸く通る高速道路だということでした。Beltwayを渡ると、ワシントンDCの都心に入ります。なので「inside the Beltway」は日本語だと都心という言葉に似ています。したがって「outside the Beltway」は都下という意味になります。他のアメリカの都市も「beltway」という都市の外側を回る高速道路がありますが、「inside the Beltway」は通常ワシントンDCのみの高速道路を表すフレーズです。なのでこのフレーズを使う時には、「beltway」ではなく頭文字が大文字の「Beltway」になります。つまり、「Beltway」はワシントンDCのニックネームとして使うことができます。

今朝、電車に乗りながらWashington Postを読んでいたら、このような文章が出てきました。

Already, Democrats are running ads that rely on Romney’s remarks. This wouldn’t be a huge problem if the controversy were restricted to the Beltway, but it isn’t.
民主党は既にロムニー氏の発言に由来するコマーシャルを流している。これがワシントンDCの政治に限られている論争であればさほど大きな問題にならないであろうが、そうではない。

ここでいうthe Beltwayとは、ワシントンDCよりワシントンDCの政治という意味になります。ワシントンDCはアメリカの首都なので、「the Beltway」は地方政治ではなく、議会や大統領の政治というニュアンスでよく使われています。今はアメリカの選挙期間ですので、アメリカの新聞を読んでいる方はこのフレーズを見かけるかと思います。つまり内容にもよりますが、時に「Beltway」は国政という意味になり、時にワシントンDCという意味にもなります。以下の例文の中では、Beltwayは国政という意味で使われています。
数日前のWall Street Journal の大見出し

Despite Beltway Furor, Clean Tech Creates Jobs Both Red and Blue
ワシントンDCで起きている政治の騒動にもかかわらず、クリーン・テクノロジーは共和党と民主党の両地域にある仕事を作り出す

昨日のFox Newsの大見出し

Bio-weapon surveillance system under attack in Beltway
ワシントンDCの政治家から生物兵器の監視システムは攻撃を受ける

2 件のコメント

  • […] 前回、BeltwayというワシントンDCのニックネームについて書きましたが、今回は他のアメリカの都市のニックネームを紹介します。実はイギリスの都市のニックネームについても書きたかったのですが、よく考えてみるとアメリカ人に比べイギリス人はあまり都市にニックネームを付けないことに気付きました。そして、もし付けるとしたら皮肉っぽいニックネームを付けます。例えば、リーマンショックの直後、ロンドンはReykjavik on the Thamesと呼ばれていました。なぜなら銀行が多いロンドンは、アイスランドの首都レイキャビクのように破産しそうだったからです。 […]

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    記事を書いたLukeについて

    英語の教師と作家。父はイギリス人、母はアメリカ人。イギリス生まれ、13歳でアメリカへ。卒業後はワシントンDCで記者。現在東京に在住。著書に『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『とりあえずは英語でなんと言う?』 (大和書房)、など。NHK基礎英語1と婦人公論の連載。