「forget me not」の意味と語源

Luke

こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!


通常、英語で「forget me not」は「私を忘れないで」という意味になります。このフレーズは,恋愛に関係します。英語の否定文に慣れた方は、この「forget me not」の語順は少し変だと思われるでしょう。日常英語だと、「私を忘れないで」は「don’t forget me」になりますね。しかしなぜ「forget me not」なのかというと、このフレーズは中世時代の英語なのです。そのため、「私を忘れないで」という意味での「forget me not」は、現在の日常会話ではほとんど使われていません。もしとてもロマンチックなカードを恋人に送る時に「forget me not!」と書くならあり得るでしょう。

現在では、「forget-me-not」は花の名前として親しまれていて、書く時には通常ハイフンを入れます。この写真にある綺麗な青い花が「forget-me-not」です。この青色を「forget-me-not blue」と呼びます。これはよく、人の目の色を説明する時に使います。ハリーポッターのロックハート先生の目はこの色なので、Harry Potter and the Chamber of Secrets では以下の説明があります。

Professor Lockhart was wearing robes of forget-me-not blue that exactly matched his eyes.
ロックハート先生は目の色に合わせた、忘れな草の色のローブを羽織っていた。

なぜこの花の名前が「forget-me-not」、つまり「私を忘れないで」なのかというと、それはヨーロッパの神話からきています。
中世時代とあるドイツ人騎士は、恋人のために花を摘もうと岸を降りると、誤って川の流れにのまれてしまいました。そして溺れる前に彼は最後の力を振り絞り恋人にその花を投げ、「僕の事を忘れないで!」と叫びました。残された彼女は彼の墓にその花を供え、彼の最期の言葉をその花につけたのです。
この神話から、この花を身に付けると恋人は自分のことを忘れないと思われていました。 なので中世時代、女性は恋人への愛の証として、「forget-me-not」の花を身に付けていました。

7 件のコメント

  • Forget Me NotsっていうPatrice Rushen の名曲がありますね。大好きな曲です。
    forget-me-notも今年は二種類のタネをまきました。ちょっと出遅れたかも。
    sがつくのとつかないのとあるけど何だろ。

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    記事を書いたLukeについて

    英語の教師と作家。父はイギリス人、母はアメリカ人。イギリス生まれ、13歳でアメリカへ。卒業後はワシントンDCで記者。現在東京に在住。著書に『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『とりあえずは英語でなんと言う?』 (大和書房)、など。NHK基礎英語1と婦人公論の連載。