チャレンジは英語でどう使う? ー なぜI want to challenge this goal.は正しくないのでしょうか

Luke

こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!
チャレンジ

日本語では、「チャレンジ」や「チャレンジする」というフレーズを使いますね。英語でもchallengeはよく使いますし、とても役に立つ単語ですが、使い方と文法は日本語のチャレンジと大きく異なります。
先日、アメリカから一時帰国した日本人の友人は、普段英語の間違いはしないのに、challengeの使い方を間違ってしまっていました。それに、和英辞書に正しくない例文が載っているのも見たことがあります。なぜchallengeを英語で使うのは日本人にとって難しいのでしょうか。 
日本人にとってchallengeの大きな落とし穴は、challengeがよく再帰動詞として使われていることを忘れてしまうところにあります。再帰動詞は聞き慣れない単語かもしれませんが、enjoyという動詞のように、myself、yourself、herselfなどの再帰代名詞を付けないといけない場合が多いのです。主語と目的語が同じでない場合には、再帰動詞は使いません。
たとえば、
再帰動詞の場合:

You should challenge yourself to do this new job.
あなたは新しい仕事に挑戦した方が良いよ。

再帰動詞じゃない場合:

You should challenge him to do this new job.
あなたは彼がこの新しい仕事をするために彼に挑戦した方が良いよ。

そして、日本語では、「目標に挑戦する」というフレーズを使うせいか、challenge this goalというように訳してしまいがちです。
× I want to challenge this goal.
× この目標にチャレンジしてみたいと思います。
上記の英文は、再帰代名詞が抜けているので、「目標に反対してみたい」という意味になってしまいます。英語のchallengeにはいくつかの意味があって、1つは「反対する」だからです。もし、「この目標にチャレンジしてみたいと思います。」と表したい場合、以下の英語が正しいものになります。
○ I would like to challenge myself to achieve this goal.
○ この目標にチャレンジしてみたいと思います。
この英文は文法的には正しいですが、ネイティブはchallengeとgoalをあまり一緒には使わないので、

I am going to try really hard to achieve this goal.

というようなフレーズが一番自然になります。
では、実際にネイティブがよく使っているchallengeの例を見てみましょう。

You should challenge yourself more often.
あなたはもっと挑戦してみた方が良いよ。

I don’t think I am challenging myself enough.
僕は充分自分のことにチャレンジしていないと思う。

The great thing about Todd is that he challenges himself every day, so he keeps on getting better and better.
トッドの優れているところは、毎日挑戦しているので、常に進歩しているところだ。

以下は、辞書に載っていた間違えている例文ですが、この記事を読んだ皆さんには間違いが見付けられるのではないでしょうか。

この難しい目標の達成にチャレンジしてほしい。
I’d like you to challenge to achieve this difficult goal.

先ほど言ったように、英語のchallengeには他の意味も沢山ありますが、今回は「チャレンジする」だけについて説明しています。

4 件のコメント

  • This is a great article. My student was making the same mistake and I told him he needs to add “myself” but I wasn’t able to explain why in detail, so this helps.

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    記事を書いたLukeについて

    英語の教師と作家。父はイギリス人、母はアメリカ人。イギリス生まれ、13歳でアメリカへ。卒業後はワシントンDCで記者。現在東京に在住。著書に『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『とりあえずは英語でなんと言う?』 (大和書房)、など。NHK基礎英語1と婦人公論の連載。