ネズミを表す英語 なぜ日本人はラットもマウスもネズミと呼ぶのでしょうか

Luke

こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!


先日寝ようとして布団に横になっていると、タタタタ…カタッ…台所辺りから妙な物音がしました。恐る恐る明かりを付けて台所を見てみると、そこには何も居ません。しかし再び寝ようとすると、また物音が聞こえてきます。まさにホラーです。明らかにゴキブリとは違う、「何か」が居るのです。心拍数が上がり、眠れないまま朝を迎えました。

翌日、人に相談してそれがネズミだと分かった時、恐怖心が更に増しました。そうです、僕はドラえもんなのです。
本題から少しそれてしまいましたが、「ネズミ」は英語だと、「rat」か「mouse」になります。しかし英語圏の人々にとって、「rat」と「mouse」では大きな違いがあります。「mouse」は小さく可愛らし動物で、「rat」とても気味の悪い動物なのです。ですので、一番嫌いな動物が「rat」という子供たちに、「do you like mice?」(mice=mouseの複数形)と聞くと、「yes」と答える子が多く居るでしょう。僕も、もし台所に居るのが「mouse」だったらそれほど気にしませんが、「rat」であれば引っ越しを考えます。そこでひとつ不思議に思ったのは、なぜ日本では両方ともネズミと呼ぶのかという事です。渋谷の街中や地下鉄のホームなどで、「あ!ネズミ!」という声を何度か聞きましたが、「あ!ドブネズミ!」や「あ!ハツカネズミ!」と言ってるのは聞いた事がありません。  
ちなみに、「mouse」の複数形は「mouses」ではなく「mice」になります。

There are several mice in the wall.
壁の中に数匹のハツカネズミがいます。

I hope there are no rats in my kitchen!
台所にドブネズミがいませんように!

I used to have a pet mouse.
昔僕はハツカネズミを飼っていた。

6 件のコメント

  • Yes, I’d also been wondering why there is no difference between ネズミ in Japanese. You know, Mickey Rat does never exist. Wait, apparently, it does exist…I just googled it…
    BTW, I’m always looking forward to your article!

  • 詳しい事は知りませんが、生活にどのくらい密着しているかの違いだと思います。
    以前ジンベイザメを英語でなんと言うか、
    カナダ人に尋ねたら、big shark って言われた事が有ります。日本人もハツカネズミとかドブネズミとか野ねずみとか言葉は有りますがちゃんと見る機会はあまりないし、ラットを見たら”大きいネズミ”とか言っちゃうかも…。
    日本人は同じ魚でもハマチとブリで言い分けますが、ヤギはヤギ、クマはクマです。英語圏のかたはハマチはハマチですが、ヤギはkidとgoat、クマはcubとbear、分けますよね?
    農耕民族で海のものを中心に食べてきた日本人と狩猟民族で大地のものを中心に食べてきた西洋人とでは生活に密着する言葉が違うってことじゃないかと思いました。

  • あるMMOゲームで”ratting”という表現を知ったんですが、このポストでそういう言い方をする理由が少し分かりました。
    それで思い出したのですが、海外のカジュアルなフォーラムなどで”could have”を意味する”could of”という表現を見かけてから、その言い方の意味や文化に興味を持っています。もしまだ話題にされてないようでしたら、取り上げていただけると嬉しいです。
    Hello, Mr Luke. I heard a word of “ratting” at foreign MMORPG, so I’m sure I have understood a little about it with your explanations. Thanks!
    So It reminds me that I saw one way of saying that is “could of” to mean “could have” in foreign casual forums. I have been curious about the differences of two ways of saying, which is “could of ” and “could have”, and its cultural backgrounds like “rat” and “mouse”. If you have it topics for your awesome blog, I would be happy and appreciate you so much. How about it?
    Anyway keep doing a good job! and I’m sorry for my poor English. LOL.

  • なるほどー。ratは嫌われもので、miceはかわいい生き物なんですね。
    antlerとhornも日本語では一緒だし、他にもそういうのありますよね。逆もまた然り。日本語では魚とか野菜の種類が細かく呼び分けられてるけど英語では種で一括りに呼んでるのが多いかなと思ったんですがどうでしょう?

  • […] 僕は以前アパートに住んでいたのですが、そこには様々な問題がありました。まず、壁がとても薄く、隣の部屋の人の電話の内容が分かります。ユニットバスは狭すぎて、トイレに座ると膝が壁についてしまうし、姿勢よく立ってシャンプーをすると、洗っている手が天井にぶつかります。 しかし、もっと大変だったのは虫です。網戸を閉めているのに、どこからともなく虫が現れます。そして、そろそろ引っ越そうかなぁと思った途端、追い打ちをかけるかのように様々な虫が現れました。これは昆虫学者にとっては楽しいかもしれませんが、僕にとっては戦いでした。前に書いたネズミの記事を読んでくれた人は分かるかもしれませんが、ネズミも出ました。しかし大変だったのはそれだけではありません。 引っ越して数日たったある日、オムレツを作ろうと思ってフライパンにオイルを入れると、オイルがフライパンの端に流れていきました。フライパンを少し揺らしてみましたが、フライパンを置くとオイルはまた同じところに流れてしまいます。その時、「Wow. This is really weird.」と心の中で嘆いたのを覚えています。 そしてそれから数日後、荷物の整理をしていてテニスボールをたまたま床に置いたら、ボールはゆっくりと壁まで転がっていきました。思わず「Oh no…」とつぶやいていました。そうです、僕の借りたアパートは傾いていたのです。その、ピサの斜塔のようなアパートにはThe Leaning Apartment of Tokyoというあだ名を付けました。 そんな僕は最近、マンションで快適に暮らしています。まだ細かい定義は分かりませんが、日本でのアパートとマンションの違いを、身をもって知ることが出来た気がします。 貧乏コラムが書き終わったので本題に入ります。 アメリカでは、日本でいう豪華なマンションも、僕が住んでいたような安いアパートも、apartmentといいます。 […]

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    記事を書いたLukeについて

    英語の教師と作家。父はイギリス人、母はアメリカ人。イギリス生まれ、13歳でアメリカへ。卒業後はワシントンDCで記者。現在東京に在住。著書に『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『とりあえずは英語でなんと言う?』 (大和書房)、など。NHK基礎英語1と婦人公論の連載。