英語ではどのように障害について話せば良いのでしょうか

怪我の英語
Luke
こんにちは、イギリス生まれ、東京在住英語教師と作家のLukeです。


今日のテーマは「英語ではどのように障害について話せば良いのでしょうか」ですが、これは少々複雑です。日本でも、様々な障害が認識されるようになり、まず障害と表記するか障がいと表記するかという問題もあると思うので、やはりどこの国でも複雑なのは同じなのかも知れません。
英語では、障害を表すいくつかの単語がありますが、それらの使い方に気を付けないと、自分にそのつもりがなくても相手が不快になってしまうことがあるでしょう。アメリカでは人口の2割程が何かしらの障害を持っているので、障害について英語で正しく話せることが必要です。
英語で障害を表す単語はいくつかあります。そして一般的に使われている単語は、時代と共に変化しています。

Disabled

現在、障害がある方を表すのに一番多く使われている単語は disabled ですが、これは「日常生活に差し支える障害がある方」という意味になります。この英単語は様々な形があり、中でもよく耳にするのが、a disabled person というフレーズです。そして、複数形の the disabled もよく使われていますが、障害のある方1人ではなく障害のある方全体を指します。

People-first language

しかし、このフレーズよりも丁寧な表現の仕方があります。まず、障害について話す時には「people-first language」という考え方が重要になります。これは、障害がある方に対して、障害があるということだけで考えないように気を付けるということです。当然ですが、障害があるという以前に一人の人間だからです。英語では、a disabled person のように名詞に形容詞を付けると、その名詞がその形容詞で特定されてしまいます。しかし、a person with a disability のように、名詞と with と別の名詞というパータンを使うと、形容詞の形ほど名詞を特定しません。それなので、a disabled person よりも a person with a disability の方が良いです。「people-first language」の考え方は、当たり前ですが忘れてはいけません。

名詞 + with + 名詞
単数:a person with a disability
複数:people with disabilities

続いて、知的障害と身体障害は以下のように表します。

知的障害 intellectual disability (昔は mental retardationが使われていました。)
身体障害 physical disability

そして、英語圏で精神障害は、障害というより病気としての認識が一般的なので、mental illness になります。
ここまで障害についての英語をいくつか説明してきましたが、障害のある方の多くは、障害という言葉でひとくくりにせず自分の具体的な障害で話してもらいたいと思っていると言います。たとえば、自閉症の場合、a person with a disability でなく a person with autism の方がより丁寧です。先ほど述べたように「people-first language」を尊重しましょう。

自閉症の男の子 an autistic boy より a boy with autism
聴覚に障害のある人 a deaf person より a person who is deaf
糖尿病の人  a diabetic person より a person with diabetes

また日本では、重度障害と軽度障害を区別する場合もあると思います。重度障害を英語で表したい場合、通常 severe という形容詞を使います。

a severe disability

Impairment

しかし、軽度障害について話す場合は、disability よりも impairment をよく使います。
disability と同様、この単語は失礼ではありません。例えば、visually impaired というフレーズは「盲目」ではなく、「視力に障害がある」という意味になります。また、a mild disability という言い方もたまに耳にします。
最後に、disabledより古い言い方を見てみましょう。

Handicapped

日本でも耳にする handicapped という単語は英語でも使われていますが、a person with a disability の方が丁寧です。しかし、handicapped もよく使われていて、不快に思わない人も多いようです。英語圏では以下の看板をよく見かけます。

handicap parking
障害者用駐車スペース

handicap toilet
身障者専用トイレ

現在は、

disability-accessible parking
disability-accessible toilet

これらのフレーズの方が失礼がありませんが、実際によく目にするのは前者の方です。

Crippled

昔、障害のある方は crippled という英語で表現されていたのですが、これは「不自由」という意味になります。cripple は昔の小説によく出てきますが、現在この英語は失礼なので絶対に使わないで下さい。しかし、障害のある方という意味で使わなければ、単語自体は失礼なものではありません。

Public transportation in the city was crippled.
市の公共交通機関が麻痺してしまった。 

怪我の英語

ABOUT LUKEこの記事をかいた人

こんにちは、筆者のLuke Tunnicliffeです。母はアメリカ人、父はイギリス人。イギリスのコーンウォール州生まれ、13歳のとき、アメリカのノースカロライナ州へ。大学卒業した後はワシントンD.C.で雑誌編集者・記者の仕事を経験。その後、新潟県の中学校で英語教師を2年間。現在、東京に在住。著書に『イギリスのスラング、アメリカのスラング』(研究者)、『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『「とりあえず」は英語でなんと言う?』 (大和書房)、『「さすが!」は英語でなんと言う?』、「カジュアル系」英語のトリセツ」(アルク)があります。NHK基礎英語1の「4コマでニュアンスを学ぶ基本英単語」、婦人公論の「ティーテイムEnglish」 の連載もあります。 イギリス、アメリカ、日本で経験した様々なことをこのサイトに生かし、皆さんにお届けしたいと思っています。 皆さん、これからもよろしくお願いします。新着記事を読みたい方は、ぜひ英語 with Lukeをフォローして下さいね。

12 件のコメント

  • Lukwさんは障害と障がいの違いが分かるぐらい日本語が上手な方ですが、日本語は何年ぐらい勉強したのですか?英語を日本人が学ぶのと真逆なので気になります!

  • こんにちは。
    英語を自分で学び始めて色々なことを調べているうちに、こちらのサイトに辿り着きました。
    Lukeさんのように、日本語に通じている英語圏の方からこのように英語について詳しい情報を得られることは、学習の上でとても大きな助けになっております。
    どうしても自分だけで学習していると、言葉の表面的なことに囚われて誤った言語を使用してしまいがちですが、こちらのサイトにあるように具体的なニュアンスを伝えてくださると、とても印象深く、使うときに自信を持って使うことができます。
    素敵なサイトに巡りあえて、感謝しております。
    これからもぜひ、参考にさせていただきます!

  • カナダに住んでいます。
    子供の通う学校では、special needsの子が何人かいますが、
    この言葉のニュアンスはどういう感じなのでしょうか?
    助けが必要な子、という意味で大人には使わない言葉ですか?
    障がいよりも少し幅広い意味を持つのでしょうか?

  • いつも興味深い記事をありがとうございます。
    上の記事を受けてひとつ質問があるのですが、”disorder”という単語はどういった場面で使われるのでしょうか?

  • challengedという言葉を聞いたことがあったけど
    調べたらわりと新しい使い方みたいだった。
    difficultyというのもどっかで聞いた気がしたが
    しらべたらどうも違うようだ

  • 一般的な語感については記事のとおりだと思いますが、障碍について言う場合のimpairment/disability/handicapについてはWHOによるきちんとした定義があります。(近年若干変わったようですが)公的機関や医療関係ではこの基準は今でも参照されているのではないでしょうか。
    http://www.pediatrics.emory.edu/divisions/neonatology/dpc/Impairment%20MX.html
    上にspecial needsについての質問が出ていますが、基本的な考え方として(1)本人の持つ性質について言う場合と(2)環境側の性質について言う場合、を区別します。handicapやspecial needsは後者で、環境の柔軟性が足りないと必要なサービスが受けられないので環境の方を合わせてゆこう、という考え方が背景にあります。

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