sic の意味と使い方、間違いをそのまま引用する場合に使う単語

Luke

こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!

次の状況を想像してみて下さい。誰かの発言を引用したいのですが、その発言の中には間違いがあります。なので自分がそのまま引用すると、自分の間違いのようになってしまいます。このような場合、sicという単語で、間違いもそのまま表記しているということを表すことが出来ます。
記者はよくこのような状況に遭遇します。インタビューを引用する時には、そのインタビューされた人の言葉を正確に引用しなければなりません。なのでその人の間違いをそのまま表記する場合、これは誤植などではなくインタビューされた人の間違いだということを示すために「sic」を使います。sicを書く時には、角括弧[ ]に入れて、イタリック体を使用します。

She said, “I would rather eat natto then [sic] wear that shirt.”
彼女は「そのシャツを着るよれ〔ママ〕、納豆を食べたい。」と言った。

ちなみにここでの正しい英語は「than」ですね。

He said, “That red sweater is a perfect compliment [sic] to today’s outfit.”
彼は、「その赤いセーターは今日の格好によくにおう〔ママ〕ね。」と言った。

そしてここでの正しい英語は「complement」です。
しかしこの「sic」を使いすぎると、使われた本人は馬鹿にされていると思ってしまうかもしれません。それに加え「sic」は間違いを露骨に指摘することにもなるので、その発言者は読者に見下されてしまう可能性もあるのです。
日本の編集者は[sic]ではなく「〔ママ〕」を使い、分かり易く「原文ママ」と表記することもあります。この〔ママ〕は[sic]とほぼ同様の使われ方をしていますが、角括弧[ ]と亀括弧〔 〕とで違うというのは面白いですね。

1 個のコメント

  • 昔の記事にlukeさんの発音が付いていますが、URLを入れてもデータがなく発音が聞けません。また最近の記事のオレンジの部分の発音も聞きたいです。どうにか発音聞けるようにサイト改善して頂けないでしょうか??

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    記事を書いたLukeについて

    英語の教師と作家。父はイギリス人、母はアメリカ人。イギリス生まれ、13歳でアメリカへ。卒業後はワシントンDCで記者。現在東京に在住。著書に『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『とりあえずは英語でなんと言う?』 (大和書房)、など。NHK基礎英語1と婦人公論の連載。