「data」は複数形か単数形、どちらでしょうか

Luke

こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!

「data」という「データ」を意味する英語は、複数形か単数形かという質問をよくされます。実際、「data」は複数形の単語だと思っている英語のネイティブと「data」は単数形の単語だと思っているネイティブは両方います。

「data」はラテン語に由来して、「data」は複数形で、「datum」は単数形なので、「data」は厳密にいうと複数形の単語です。しかし、多くのネイティブの感覚では、「data」は質量名詞なので、「data」を単数形の単語として扱います。質量名詞は「furniture」や「beer」という名詞のように、複数のものを示す単数形の名詞です。ある意味で、「data」に対してネイティブは矛盾していますね。

それで、「data」を使う時には、どうすればよいのでしょうか。多くのネイティブは論文や科学に関する内容の場合は、複数形の「data」を使います。そして、日常の英語の場合は、単数の「data」を使います。たとえば、
科学の場合は、

The research data are compelling.
研究のデータには説得力がある。

そして、通常の英語の場合は、

This data is going to be very useful.
このデータはこれから役に立ちます。

たまに、いつも「data」を複数形として使っているネイティブはいますが、この人たちは珍しいと思います。

2 件のコメント

  • Wow! これ、ずっと不思議に思っていました!ネイティブの文章でもどちらの表現も見たことがあったので。参考になりました!

  • この違いを一言で片づけるのは難しいでしょうね。
    (1)この単数・複数の議論は100年もの前にさかのぼる。専門家だけではなく、個人レベルでも意見が分かれます。
    (2)私がアメリカの大学に通っていた時には、友達は「とりあえず、単数形を使えば」とよく言っていました。そして、指摘されたら、その人に対しては指摘の通りに言えばいいよということでした。
    (3)上のブログ分にある「科学」分野では「複数形」というのは正確ではない。それは、
     (a)分野による
     (b)分野の決まりがありがあるが、同じ分野お中でも、出版社や学会、協会、集団等によって「単数形」とするものと「複数形」とするものがある
     (c)どちらを使ってもよいとする団体などがあれば、そのいずれかを使用しないといけないという規定があるところもある
    (4)新聞社の場合は、イギリス・アメリカに関係なく、単数形を使っているところと複数形を使っているところがある
    (5)また、新聞社の中には、単数形と複数形を使い分けているところもある。たとえば、The Wall Street Journalは、「情報の集合(集まり)の場合は、単数形、それ以外の場合は複数形」
    (6)個人レベルでは、どの分野の人たちと普段交流があるかによるでしょう。
      (a)専門職に染まった人たちと会話をしている場合は「単数形」の活用が多くなるかもしれません
      (b)専門職についていて職場での付き合いが多く、また仕事のことが話題の中心の場合は、その業種で使用する人称が主になるでしょう。
    なお、英語にはこの単語を含め、「単数形」なのか「複数形」なのか、議論を呼ぶ単語があるので、日本語版があり、権威のあるcambridgeやoxfordの英語辞典の参照が良いでしょう。
     

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    記事を書いたLukeについて

    英語の教師と作家。父はイギリス人、母はアメリカ人。イギリス生まれ、13歳でアメリカへ。卒業後はワシントンDCで記者。現在東京に在住。著書に『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『とりあえずは英語でなんと言う?』 (大和書房)、など。NHK基礎英語1と婦人公論の連載。