英語のZenと日本語の禅の意味は同じ? ー 欧米人は明らかに日本人よりZenという単語を使います

Luke

こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!

Zen
最近、「Life」というアメリカのドラマを見始めたのですが、1話目でこんなやりとりがありました。

It’s all connected.
What is?
It is.
Un, that’s Zen.
Is it?
That’s zen too, isn’t it?
Is it?
Say “ is it” one more time and I’ll shoot you.
全てがつながってる
何が?
”これ”が
それが”禅”ね
そう?
それも禅でしょ?
そう?
また言ったら撃つ

字幕の通り、「Zen」は日本語の「禅」に由来する単語です。始めに話している方が主人公で曖昧な返事をしていますが、どうやら複雑な過去を持つ主人公は、禅に精通しているようなのです。僕は日本人がこの字幕を読んで、どのように解釈しているのか気になりました。

実は、「Zen」は欧米でとても人気があります。以前イギリスのテレビ番組で日本についての話題を取りあげていた時、「全日本〜」という言葉が出て来たのですが、司会者とゲスト達は「全日本」と聞くや否や、その「ぜん」を「禅」と勘違いして「Zen」について話し合っていました。そして、Steve JobsからTiger Woodsまでもが禅に興味を持ち、禅を学んだというのが、「Zen」が欧米で浸透している何よりの証拠ですね。
僕は日本に来る前、多くの日本人も禅を学び座禅を組むと思っていました。しかし実際今まで知り合ったほとんどの日本人は、特に禅に興味がないようでした。そして多分、僕のように多くの欧米人は、日本の禅の精神をきちんと理解せずに「Zen」という単語を日常生活で使っているでしょう。
一般的な欧米人にとって、「Zen」という単語は精神を表します。それは、常に落ち着き、何があっても動揺せず、嫌な事も受け流せるような精神です。今僕が思っている禅とは、精神統一し、無念無想の境地に入り、悟りを開く、といった、まだ理解しきれていない難しいものですが、その無念無想らへんが軽めのニュアンスで欧米人に浸透しているのではないかと思います。「Life」の刑事は、一般的な欧米人より日本寄りの禅の精神を持っていそうですね。
ちなみに英語では「座禅」も「禅」も「Zen」という単語で表します。
それでは欧米人が使っている「Zen」の例をいくつか見てみましょう。

You need to try to be more Zen!
君は色々なことをもっと受け流したほうが良いよ!

I can’t believe he hit you and you did nothing. That was very Zen of you.
君は殴られても何もしないなんて信じられないよ。それはまさに禅の精神だね。

Chilling out at the beach all day makes me feel very Zen.
1日中ビーチでまったりしていると、心から落ち着いた気分になる。

僕はまだ禅をきちんと理解出来ていないので、禅の説明は出来ませんが、欧米人が普段どのようなニュアンスで「Zen」を使っているか皆さんに伝わったら嬉しいです。

10 件のコメント

  • I have been practicing Zen with zen-dialogue for 9 years in Japan. Here in Brisbane I also found the Zen gathering led by Aussie teachers authorized by Japanese head quater. The same to any religion like Christianity, the door is opened to anyone who knocks on. In China where Zen buddhism was developed in, it is pronounced as Chan, not Zen. The reason Westerners are more familiar with Zen may be the work of Daisetz Suzuki, who introduced Zen into the west by his English publications. In U.S, Zen acquired a popularity in the flower age with some misunderstanding. That is my guess for Zen, which now has a variety in usage of the word. The strict practioners are limited in anywhere, but they have been existing with precise understanding of its religion and philosophy. In Japan, as well as in U.S. some do and some don’t. Ex-prime minister Junichiro Koizumi, Yaushiro Nakasone practiced Zen with their masters. Famous Baseball managers, Kawakami of Giants, Yoshida of Tigers also dedicated to Zen. And even in Japan, some know and some don’t about that. Anyway your article was so interesting that I could had realized the situation of Zen in Japan, Australia and U.S.

  • Sorry for the un-polished message, but let me add another thing related to Zen in Japan.
    Japanese usually use an expression “something like Zen dialogue” as “confusing”, or “meaningless reply to a question” with relatively negative atmospher. I don’t know the reason we take it negative. The comparison of the usage in each culture is quite interesting.

  • いつもお世話になっています
    ひとつ質問させてもらいます。
    オーストラリアに友人がいます。FBのチャットで名前をよばれ、いきなり’goodnight’と言われました。何がしたいんだよって聞いたら、’I am going to sleep >:( that’s why I said goodnight’ とのこと。’lol it’s normal in Australia??’と聞くとyesだそう。
    そのあとなぜかsozと言われてwhyと返すとyou’ll never knowと言われました。
    Goodnightには何か特別な意味があるんでしょうか?

  • ルーク先生
    いつもためになるレッスンをありがとうございます。
    禅の僧侶から言わせると、瞑想と座禅は別物だそうです。個人的な意見ですが、欧米人の方は多分同じものだと解釈しているのでは?
    ご存知ですか?座禅中に蚊に刺されるとどうしますか?
    答えは、刺されっぱなしだそうです。

  • Luke San
    Many many thanks to your updates!!
    This blog help me understand nuances of English expression so precisely and it help me a lot in my daily life in singapore.
    Please keep updating wonderful articles at your own pace;D

  • 欧米の方のZENのとらえ方が面白かったです。
    申し訳ないけれど、例文を見て、苦笑してしまいました。
    素直なとらえ方だなと思いました。
    私が感じる”禅”は、おごそかなもので、易々と言葉にしたり、試みてみようとは思えません。禅の精神に敬意を持っています。
    何も知らない一般の自分が禅を使うには、全てを禅にささげている僧に失礼だと思うのかもしれません。
    大切な事はあまり騒がず、そっと敬う。という精神が、日本人にはあるような気がします。
    例文のZENは、私だったら、聖人の境地って言いそうですね。どの道同じ意味ですが。

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    記事を書いたLukeについて

    英語の教師と作家。父はイギリス人、母はアメリカ人。イギリス生まれ、13歳でアメリカへ。卒業後はワシントンDCで記者。現在東京に在住。著書に『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『とりあえずは英語でなんと言う?』 (大和書房)、など。NHK基礎英語1と婦人公論の連載。