外国人の教師に対して、名字か名前どちらを使ったほうが良いでしょうか

Luke

こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!

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僕は最初に日本に来た時、新潟県でALT(外国語指導助手)として働いていました。日本は初めてだったので、日本の文化や日本語について何も知らなく様々な事に驚いていましたが、一つ驚いたことは、生徒達は僕の名字ではなく名前を呼ぶということでした。僕は他の教師から「Luke先生」として紹介してもらったので、生徒達にもちろん悪気は無く、それは当然の事でした。

僕はイギリスの小学校と中学校、そしてアメリカの高校と大学に行きましたが、全ての学校では教師を名前ではなく名字で呼んでいたので、新潟の学校で僕が紹介された時、頭の中では「なぜ僕の名字を使わないのだろう」と驚きました。僕は自分が通っていた小学校の好きな教師の名前を思い出そうとしても、Mr.Ferguson、Mrs. Strickland、Miss Jenkinsなど、名字しか思い出せません。小学校はイギリスだったので、アメリカの学校よりフォーマルな雰囲気ではありますが、アメリカの高校について考えてみても、やはり教師の名前は使っていませんでした。英文学の教師はMs. Lancasterで、生物学の教師はMr. Purdyだったことを覚えています。アメリカの大学の場合は、名字に「教授」を意味する「professor」を付け、Professor Turcoなどと呼びます。中にはリラックスした雰囲気を作るために、わざと名字ではなく名前を呼ばせていた教授もいましたが、僕は少し違和感を感じ、「本当にこの教授を名前で呼んでも良いのか」と悩みました。これは僕自身の経験ですので、そうでない人もいるでしょう。例えば、自由なアメリカの私立学校では教師は自分の名字を使わないかもしれません。しかしやはり英語圏で勉強していた人の大半は、同じような経験をしているかと思います。

では、なぜ日本では外国人の教師を呼ぶ時に名字ではなく名前を使うのでしょうか?一つの可能性は、英語圏の人の名字は名前より長いので発音が難しいからというものです。アメリカ人の祖先は英語圏の国だけではなく世界中にいるので、例えばオランダ語のSneijderというような名字は、僕にとっても発音が難しいです。もう一つの可能性は、名前を使うとより打ち解けた雰囲気を作ることができ、普段あまり接点のないような外国人の先生をよりフレンドリーに感じられます。ですので、外国人の教師が名前で呼ばれることは決して悪いことではないと思います。教師をしている僕の外国人の友達も大体このように思っているそうです。しかし、たまにこれを不公平だと感じている外国人もいます。なぜ他の教師は名字で呼ばれているのに自分だけ名前で呼ばれているのか、自分だけ教師じゃないみたいだ、というように考えているネイティブの先生もいるようです。
そこで、新しく外国人の教師が学校に来たら、「海外では違うと思いますが、日本では外国人の教師は名前で呼ばれる場合が多いです。生徒達はあなたを名字か名前、どちらで呼ぶのが良いですか?」というふうに説明と質問をした方が良いでしょう。もしかすると外国人の教師の気分を害してしまう可能性があるので、勝手に名前で紹介して生徒達に名前で呼ばせるのは避けたほうが良いと思います。
そうは言っても、英会話は違うと思います。キッズの英会話でない限り、大人対大人なので、教師も生徒も名前を使っても構わないでしょう。また、英語圏の教職員はよく名前で呼び合うので、教職員同士教職員室では外国人の教師の名前を呼んでも問題ないと思います。

17 件のコメント

  • Hi Luke, I always enjoy your articles and thank you as always to supply such a great English Materials. Now let me tell you something. You took me by surprise that you used to work in my lovely hometown, yes indeed Niigata is where I was born! what a coincidence! and now I want to know where exactly the school was. I’m from the central city called Niigata city, Kaetu.
    Anyways pleasure to know about it and I’m hoping you enjoyed the life there.
    please write back to me if you got this message.
    Thanks
    Have a good night

  • 英語圏の方も相手との距離感で結構気をつかうんですね。
    敬語がない分、上下関係もあまりないのかと思いました。
    僕が知らないだけで、実際は英語でも敬語があったりしますか?
    Why don’t youは目上の人に使ったら駄目、みたいな事は教科書で読みましたw

  • いつも楽しく読ませて頂いてます。
    実は、今日、Lukeさんの投稿を拝見してびっくりしました。
    というのは、英米人の場合、first name で呼び合うのが、文化というか習慣というか当り前で、それは、生徒が先生を呼ぶ場合にも適用されると思っていたからです。多分、日本人が外国人の先生を呼ぶ時に、名前で例えば、『ルーク先生』と呼ぶのは、そうした先入観というか誤解によるものではないかと思います。
    生徒あるいは学生が先生を呼ぶ時には、名字で呼ぶのですね。とても為になりました。

    • Hi Shiro,
      Thanks for your message! How have you been? I think you are absolutely right. I just think that it is a misconception that a lot of Japanese teachers have.

  • It’s an interesting article. I didn’t aware that. The funny thing is that, generally, Japanese students also use family name when they call their teacher as same as other countries. I think the reason why Japanese students use first name is they just want to get along well with teacher.
    Thanks

  • こんにちは。いつも記事を楽しみにしています。
    これは大変興味深い記事ですね。
    アメリカのドラマで、よく小さな子供たちが先生のことをMiss Susan のように、ファーストネームで呼んでいるのを聞きます。私は、日本の学校でALTの先生をファーストネームで呼んでいるのは、アメリカのこの習慣に沿ったものかと思っていました。そもそも、MissとかMr.とかの後には、ファミリーネームかフルネームが来ると思っていたのですが、最近はこれが崩れてきているのかなあ、と思っていたところでした。
    先生をファーストネームで呼ぶのに違和感を持つALTもいる、ということを知ったのは大きな成果です。もしかしたら言うに言えないでいるALTもたくさんいるのかもしれませんね。

  • いつも、楽しく記事を拝見させていただいてます。
    すみません、私もちょっと困惑しました。
    そもそもALTは国際交流の一貫として成り立っており、
    正式な英語指導資格を持つアカデミックな教師ではないですよね?
    日本人の英語の先生(アカデミックでお堅く距離感がある)では成し得ないところを、
    ALTの先生(open-mindで楽しく会話重視)にお願いして来ていただいていると思うのですが。。
    小学校などでは、ゲームしたりしながら授業しているみたいなので、Mr~, Miss~とか
    呼びながらって逆になんか違和感を感じます。

    • Hi Yoko,
      It’s certainly true that some people don’t view ALTs as proper teachers. But many ALTs do have teaching licenses and are teachers in their own country, so it would be best to check before making that assumption. I am not saying that Japanese people should use last names when talking to ALTs, but in public high schools, at least the one I went to, all adults were addressed by their last name.

    • 教師も講師も指導者であることに変わりはないと思うのですが…
      他国の言葉を学ぶというのは他国の文化を学ぶことであると思うのです。
      小学生だからこそ、早い段階で他国の文化慣習に馴染むということが大切だと思っています。
      目上の方にも一定の配慮をするという文化があるのであれば、それを体得しておく必要が
      有るように思います。
      Mr~, Miss~に違和感、ということ自体に私は違和感を覚えます。
      ゲームをしながらであっても、それは常識的なコミュニケーションを学ぶ場でもあるはずです。
      大きくなって実際に仕事で他国の人と関わるようになって、大失態を演じる前に…ねえ?

  • はじめまして。面白く読ませていただきました。
    10年ほど前に私が中学生だったとき、ALTの先生は、
    彼のことをMr.(苗字)と生徒に呼ばせようとした英語教師に向かって
    「名前呼び捨てで呼んでほしい。Mr.なんて絶対いやだ」
    と言ったそうです。
    そして、話し合いの末に「John Sensei」と呼ぶことになったと聞いています。
    さらに高校に入ったら「Sensei」もつかなくなりましたので、
    ALTの先生は全員が名前で呼ばれたがっているのかと思っていました。
    この記事を読んで、違う考えの人もいるのだと知り、勉強になりました。

  • This is really an interesting article.
    Before reading this, I was wondering why people in Japan call foreign teachers by their names, not their family names. Now, I kind of understand. Thank you very much.
    Uhmm,, I have a favor. Can you write an article relating to ice cream/ popsicles etc.?
    In Japan, we have so many types of ice cream, and we call them all ice cream, but you don’t, right?
    If there is a lot of types of ice cream in the fridge at home and want to ask my child weather he wants one of those, how should I ask?
    Do you want ice cream? ⇒Only ice cream?
    Do you want some cold desert?
    I want to know the names of major frozen deserts too.
    Looking forward to your reply.

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    記事を書いたLukeについて

    英語の教師と作家。父はイギリス人、母はアメリカ人。イギリス生まれ、13歳でアメリカへ。卒業後はワシントンDCで記者。現在東京に在住。著書に『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『とりあえずは英語でなんと言う?』 (大和書房)、など。NHK基礎英語1と婦人公論の連載。