「nor」の使い方と意味、そして「neither … nor」の使い方

Luke

こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!

今回は「nor」の使い方に焦点を合わせます。文章全体が否定ですので、読みながら、ネガティブにならないように気をつけてください(笑)。実際、ネイティブにとっても「nor」の使い方は難しいので、「nor」を正しく使えるようになるには少し時間が掛かると思います。 しかし、「nor」の使い方をちゃんと身につけると、英語を喋っている時にすごくお洒落な印象を与えます。

「nor」の意味

「nor」はどういう意味でしょうか。「nor」は関係接続詞で、否定節にもう一つ否定節を付けたい時に使います。「nor」は「or」の否定形という風に考える人が沢山いますが、その考え方は危険だと思います。後で、その理由を説明します。

「neither….nor」の使い方

「nor」を耳にする時、よく「neither」という言葉が同じ文章に出てきますので、「neither」が「nor」の親友という風に考えれば、分かりやすいと思います。この組み合わせは、否定の文のみで使われます。 肯定文では、「either…or」が使われます。 基本的な構文は「neither A nor B 」で、日本語にすると「AもBも。。。ない」。AとBの部分には名詞でも、代名詞でも、動詞でも置けます。

neither 名詞 nor 名詞
I like neither pizza nor pasta.
私はピザもパスタも好きじゃない。

Neither 動詞 nor 動詞
I can neither dance nor sing.
僕は踊ることも歌うこともできません。

「nor」は続けて二回使えます。
I read neither books, nor newspapers, nor magazines.
私は本も、新聞も、雑誌も読まない。

「neither」は文頭にも置けます。
Neither my cat nor my dog likes bananas.
猫も犬もバナナが好きじゃない。

さて、ここまではどうでしょうか? 「neither.. nor」の使い方はそれほど難しくないでしょう。ここへさらに、「neither… or」 という組み合わせが正しくないということさえ身につければ、皆さんはすぐに使いこなせるようになると思います。しかし、もう一つの使いにくいポイントがあります。それは、動詞の人称と数を一致するルールです。「neither A nor B」という構文が文頭に使われる時に、その後に続く動詞は「nor B」という部分と一致しないといけません。

Neither you nor I am happy.
私もあなたも幸せじゃないですよ。

上の文ではbe動詞は「you」ではなく「I」と一致することになるので、「am」が使われています。

「neither…. nor」のバランス 響きが綺麗な英語

めりはりの利いた英語を書くために、「neither…nor」のバランスに気をつけないといけません。「neither A nor B」を使う書く時、「A」が名詞なら「B」も名詞にしたほうが綺麗です。これはルールではなく、ただのアドバイスです。つまり、「B」を「A」に合わせて、二つの動詞、二つの名詞、あるいは二つの形容詞とすると、文の響きがよくなります。以下の例文をみてみましょう。なぜこの文はバランスが取れていないのでしょうか?

My son will eat neither his apple nor drink his milk.
私の息子は林檎を食べないし、牛乳も飲まない。

「nor」の後には動詞が使われていますが、「neither」の後には名詞が使われています。でも、幸いなことに、この文は簡単に直せて、簡単に綺麗にできます。

以下の文は、めりはりが利いています。
My son will neither eat his apple nor drink his milk.

孤独な「nor」

「neither」と「nor」は親友なんですが、「nor」はたまに孤独も楽しみ、一人で文の中に出てきます。 この時、多くの場合「nor」で文を始めます。

He does not eat meat. Nor does he eat fish.
彼は肉を食べない。 それに魚も食べない。

Person A: I don’t like you!
Person B: Nor do I!
人A:あなた嫌い!
人B:俺も!

つまり、否定文の後にに他の否定文を付けたい時に、後に続く文を「nor」で始めることが出来ます。

「nor」の落とし穴 -「not」と「nor」の使い方

さっき、「nor」は否定の「or」という風に考えるのは危険だと言いましたが、ここではその理由を説明します。「neither」と「nor」の組み合わせはよく使われていますが、「not」と「nor」の組み合わせもたまに見かけます。 しかし、「neither… nor」の組み合わせのルールと「not …. nor」のルールは大きく異なります。この点で、ネイティブではない人に限らず、ネイティブですらよくこの落とし穴にはまってしまいます。例えば, 以下の二つの文をよく見てください。どちらが正しいでしょうか?

1.I am not interested in pizza or pasta.
2.I am not interested in pizza nor pasta.
私はピザにもパスタにも興味がない。

答えは、1です。でも、どうしてこの構文では「nor」が使えないのでしょうか? この文には「I am not interested in A or B」という構文があります。「B」が名詞、副詞、形容詞だと、「nor」ではなく「or」を使わないといけません。「B」が動詞なら、「or」か「nor」のどちらか使えます。これは少し分かりにくいと思うので、以下の例文を見てください。

A とBは副詞ですので、「or」だけが使えます。
She didn’t run fast or efficiently.
彼女は遠くも走れないし、走り方が効率的ではありません。

A と B は動詞ですので、「or」か「nor」どちらでも使えます。
Jane will not go outside nor even use the telephone.
Jane will not go outside or even use the telephone.
ジェーンは外に出るのを断ったり、電話を使うことまでも断ったりします。

A とBが動詞の場合、「or」にするか「nor」にするかは、響きで判断したほうが無難です。「or」より「nor」のほうがインパクトが強いと思いますので、文を強調したい時には、「nor」を使ったほうがいいです。
やはり、この「not …or」と「not …nor」の使い方を身につけるのは、難しいと思います。しかし、英語の本を読めば読むほど皆さんは正しい使い方が身に付いていくと思います。それまでは、節が名詞、副詞、または形容詞の場合、「or」を使って下さい。節が動詞の場合、「nor」か「or」を使う、というルールを覚えておいてください。

15 件のコメント

  • う~ん、難しい。 説明を読むとそうかなと思うけれど、実際に自分でセンテンスを作らなければならない時、とっさにこの説明が思い出せません。

  • 学校では習わない説明をいつも楽しみにしています。ありがとうございます。
    これまで、
    「neitherが有ればnor、neitherが無ければorを使う」
    としてきましたが、これでずいぶんスッキリしました!
    細かいところですが、二点程質問があります。
    Q1.「nor」は続けて二回使えます。
    例文:
    I read neither books, nor newspapers, nor magazines.
    and や or は、続けて二回 使われないのでしょうか?
    Q2. A と B が動詞なら、「or」か「nor」どちらでも使えます。
    例文:
    Q2-1; Jane will not go outside nor even use the telephone.
    Q2-2; Jane will not go outside or even use the telephone.
    Q2-1 と Q2-2は、まったく同じ意味でしょうか?
    よろしくお願いします。 ^_^)/

  • Thank you. Luke-san! This posting does exactly respond to what I looked for regarding the difference between “or” and “nor” when used with “not.” Now it is very clear!

  • Hi,
    I’m just wondering if i can say,
    “This is not big. Nor is small.”
    meaning like “This is not big or small.”(大きくも小さくもない)
    Thanks.

  • so confusing. my noggin’s so stubborn, when I don’t like something, I just wanna start with
    “I DON’T LIKE” followed by “either A or B”.
    I should say more like: “I don’t like neither A nor B.” Am I rihgt?
    Funny thing is that if I were to be asked like “Do I like A or B?”, I can see myself saying “NEITHER!”
    One last thing, I love hearing the word pronounced differently from person to person. (“knee-therr” or “ny-therr”) I love’em both eually. 😉

  • or か nor かというのは後に続く品詞というよりはnoとnorが修飾する品詞(または品詞句)が並列か否かによるのではないですか? not interested in pizza or pastaの場合,notはinterestedにかかっており,pizza or pastaはin でくくられて一括してinterestedの対象になっています。したがって,そのなかでnorを使うのは必然的にへんてこなフレーズにならざるを得ないということになるのではないでしょうか。 最後の動詞の例ではwill not がgo とuseの両方に同時にかかると考えれば,go or useになるし,will がnot go とnor useにかかると考えても許容できる,ということだと思いますが。

  • さすが!と思うような、これぞ!と思うような、まさにネイティブしか知り得ない細部のニュアンスをここでいくつも教示いただき、大変感謝しています。
    ルークさんのような、細やかな勉強方法をされている外国人教師に縁がほしいものです。
    個人的な英語学習の参考の為にいつも拝見しております。
    ありがとうございます。

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    記事を書いたLukeについて

    英語の教師と作家。父はイギリス人、母はアメリカ人。イギリス生まれ、13歳でアメリカへ。卒業後はワシントンDCで記者。現在東京に在住。著書に『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『とりあえずは英語でなんと言う?』 (大和書房)、など。NHK基礎英語1と婦人公論の連載。